開発者の話
日東木材産業㈱取締役会長 齋藤陸郎

私が住宅の開発に関わりだしたのは、昭和37年にプレカット業を主とした日東木材産業株式会社を静岡県浜北市(現浜松市)設立し、昭和44年に日東ハウスとして住宅の販売も開始したときからです。ここから、私の理念でもある「安心・安全で、しかも人や地球環境にもやさしく、だれもが豊かに暮らせる住まい造り」を念頭に住宅の工法開発が始まりました。
まず、初期の商品として開発したものは、軸組み・ツーブン式とパネル工法を組み合わせた合理化住宅「愛妻型」でした。当時販売するや住宅市場でも大好評を頂くことができたのです。
その後、アメリカに2×4(ツーバイフォー)工法という合理化工法があると聞きつけ、昭和47年に渡米して研修会に参加しました。研修会において主催者側から、当時この工法が世界の標準であるとの説明を受けました。確かに、その合理的な施工性を目の当たりにすると、なるほどと感心させられました。さっそく帰国するなり、当社の事務所建設に国内では当時まだ珍しい、この2×4工法を採用し、社員と一緒に建てたことがなつかしく想えます。
国内で本格的に2×4工法が紹介されはじめた頃というのは、日本の住宅着工が40年後半に向かって170・180万戸と上昇している時期でした。しかしその一方で、大工や職人の減少も顕著となり、職人不足が懸念されはじめた時でもありました。そこで問題解決の一策として、東京大学の杉山先生が、昭和49年にこの工法を国内に正式に導入することを決定したと言われております。
当社は、関東にも進出するなどし、この2×4工法を2~3年ほど取り扱いましたが、ある時期を境に取扱いを中断しました。「やはり日本人には、日本の気候風土にあった伝統工法が本当は相応しいのではないか」という考えが芽生えてきたからです。
そこで、伝統工法である在来工法の良い点と2×4工法の合理性をなんとかマッチさせられないかと考え、そのシステム開発に着手したのです。
しかし、すぐ大きな問題にぶつかりました。それは、家づくりの作業工程でも重要となる、大工の墨付け作業でした。一般的にこの技術を習得するには、5~6年の修行期間を要する言われています。その技術をなんとか大工の手をかけないですませる方法はないかと日々考え、たどり着いたところが加工機械(現プレカット加工機)の開発をまず行なうという点でした。開発は簡単にはいきませんでしたが、紆余曲折を経て、やっと昭和51年7月に半自動機を製作し導入することに成功しました。
これを契機に昭和50年後半から昭和60年頃には、全国各地でプレカット工場の建設が続き、現在では全国で700工場あまりと言われるまでになり、木造軸組の内90%は、プレカットされている状況にまでなりました。
プレカット加工機が普及を始めると、住宅市場も序々に様相を変えていきました。木造住宅は少しずつ減少傾向になり、それに替わるようにして鉄骨やコンクリート造りが次第に拡大してきていたのです。当時この状況を見ていた私は、「本当にこのままでも良いのか」と疑問と不安を抱かざるをえませんでした。
そこで新たに木造住宅の可能性を広げ、活性化させるていくためにも、一般住宅でも3階建てや少し大きめな建物ができないものかと、新たな工法の研究開発に着手することにしたのです。そして平成元年にやっと100年住宅の金物工法と銘うち、究極(ファイナル)のフレームという意味も込め、「FFロケット工法」と名づけ世に送り出すことになったのです。
その後、ロケット工法が基本となり、伝統工法である「さくりはめ壁」をベースにし、無垢の良さを活かし、断熱・気密性能にも優れた「TERRA工法」、木造ラーメン構造で、狭小地でも3階建てを可能にした「K-3工法」など、幅広く展開をしていきけました。最近では、「K-3工法」jをさらに、コスト的にも強度的にも発展させたラーメンフレーム「ハイリジットラーメン」の商品化に成功しました。これにより制約の少ない大空間や全面開放の空間、ガレージや店舗との併用など設計の柔軟性を高めました。
現在では、この数々の工法を総称して「ロケット・テラ工法」と呼ぶことにしました。
一方、システムを構成する、構造体・パネル・金物の開発には、耐震性や耐久性など、業界でも1・2を競うほどの多種多用の実験を繰り返してきました。その結果、現在では、工法や部材に対して大臣認定や型式性能認定といった公的な認定もいろいろと頂くことができるようにまでなりました。
このように当初から現在に至るまで数々の工法開発に成功できたことには、ひとえに多くの先生方や緒先輩方のご尽力によるものだと常々感謝しております。それだけに、、今度は、必ずこのご恩に報いるべく、数多くの人たちに本当に住んでみて良かったと喜んで頂けるような家として、その家づくりに情熱を注ぎ、日々切磋琢磨していくつもりいます。
今回、ワイスデザインという設計家の先生方との新たな共同事業は、「ロケット・テラ工法」に新風を吹き込み、お施主様にとって本当に満足できる新システムとしてご利用して頂けるものとなるよう共に努力をしていきたいと思っています。
また、昨今世の中は、阪神大震災以上に私たちが経験のしたことがない震災や温暖化などの地球環境も異常事態になっています。環境にやさしい高性能住宅の供給は、私たちの最重要課題です。
今後は、さらに安全性・柔軟性・リサイクル性をもち、しかも金物工法に変る環境に配慮したシステムとしても発展させていければと思っています。